- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:27:53.06 ID:nrzMucf10
-
寂寞の荒野を、寄り添うようにして歩く二つの人影は、
まるで重なって一つの様に見える。厳しい風に吹かれながら、フラフラと蟻の行進さながらに進んでゆく。
(メ^ω^)
ξ゚⊿゚)ξ - 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:29:55.77 ID:nrzMucf10
-
あの“沼地の洞窟”での激戦の末、見事勝利を果たした戦士と、
幽囚の身から解放され、自由となった姫君。本当なら、姫を抱きかかえながら歩く戦士の姿でもあれば様になったろうが、
限界をみるブーンの体力から、それを強いるのは酷というものだ。むしろ華奢な姫が肩を貸し、なんとか引きずられるように。
ξ゚⊿゚)ξ「がんばって、ブーン。もう少しよ!」
(メ^ω^)「おお・・・」
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:32:18.98 ID:nrzMucf10
-
沼地の洞窟では、敵はあまり襲って来なかった。
おそらく、あの洞窟の主であるドラゴンを討ったからであろう。
知能の高い魔物が住み着いていた証拠だ。ローラ姫をラダトームまで送り届けたいが、あの道程をまた引き返す事など出来ない。
ここは、一旦あの地点から最も近い町・・・リムルダールへと歩を進める。
そこで、ブーンの養生とロトの勇者の情報の収集をかねてのち、
姫をラダトームにまで送り届けよう。それを当面先の冒険の予定とする。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:35:09.84 ID:nrzMucf10
-
(メ^ω^)「・・・・・・ぐ」
ξ゚⊿゚)ξ「ブーン。しっかり」
満身創痍とは、まさにこの事だ。
進むのも、姫の手を貸して貰わねば満足に歩けはしない。表情も、どこか虚ろだ。
ブーンは、多くの血を失った。
しかしそれでも・・・・・・
(メ^ω^)「・・・・・・」
ξ;゚⊿゚)ξ「はっ」
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:38:11.78 ID:nrzMucf10
-
リカント「グルルラルルルゥゥゥウウ・・・」
ξ;゚⊿゚)ξ「・・・ブーン・・・・・・」
((メ^ω^)「・・・・・・」ユラ・・・
リカント「ゴギャアアアアアッッ!!」
(メ^ω^)「・・・・・・」ドシュッ
リカント「・・・・・・グゲア?」
姫を守るという意思だけは失わない。
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:41:34.75 ID:nrzMucf10
-
魔物の、首が落ちた。
その首が地面に落ちると同時に、ブーンも倒れる。
ξ;⊿;)ξ「ブーン!」
(メ-ω-)
魔の手から、絶対に姫を守る。
歩く時は足下もおぼつかないが、いざ戦闘になれば、渾身の力を発揮する。もはやブーンは、脱力から俊速の一閃を放つ境地にまで達していた。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:45:05.05 ID:nrzMucf10
-
魔物を倒した後は、意識を失う。幾度となく、気絶と覚醒を繰り返す。
(メ^ω^)「・・・・・・お」
ξ;⊿;)ξ「ブーン、ブーン」
(メ^ω^)「・・・お待たせたしましたお。いくかお、お姫様」
ξ;⊿;)ξ「大丈夫?大丈夫っ?」
そしてまた歩きだす。
リムルダールへは、もうすぐだ。
さあ、その痛みに耐えて。
いざ進め。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:48:17.83 ID:nrzMucf10
-
ξ*゚⊿゚)ξ「わぁ・・・!」
(メ^ω^)「おお・・・・・・」
辿り着いた。
美しき湖の町――――――リムルダール。
大きな外壁に覆われ、門の外から中を眺める。
そこには、雄大で綺麗な湖が広がっていた。
湖の中心に向けて、橋が渡されている。
そこが、人が居住する集落だろう。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:51:04.71 ID:nrzMucf10
-
門に憲兵が数名いる。
厳重な警備体制をしいている町で、入国審査が必要だった。ξ#゚⊿゚)ξ「何よ!重傷を負っている人間がいるのが解らないの!?
早く通しなさい!私は、ローラ=ツン・デリ・・・モゴモゴ」(メ;^ω^)「すいませんお。なるべく迅速に手続きして頂けると助かりますお」
二人のボロボロの姿を見るなり、憲兵たちは顔を見合わせ、
すぐに町に入れるように手続きを済ませてくれた。そして、最寄りの医者の家への道順を聞き、門をくぐる。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:53:39.66 ID:nrzMucf10
-
高見から見通す湖の波紋の美しさに心捉われながら、病院へ向かう。
町に入ってからは安堵の為か、よりフラフラとしながら歩いた。
(´・ω・`)「やぁ。いらっしゃい。この薬水はサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
・・・・・・随分と重傷のようだね」(メ^ω^)「お・・・先生、お願いしますお」
ξ゚⊿゚)ξ「この病院で最高の名医を呼んでちょうだい。
ヤブ医者をあてたら、首を刎ねるわよ」(´・ω・`)「この病院で医師は僕一人だけだが、腕には自信はあるけれどね。
とりあえず診よう。横になりなさい」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:56:27.06 ID:nrzMucf10
-
ブーンは診察台に乗せられ、診察を受ける。
(´・ω・`)「ふむ」
(´・ω・`)「節々に火傷、体中の骨折に、重度の打撲、切り傷、失血」
(´・ω・`)「呼吸の仕方から、内蔵も痛めているだろうね」
医師は、てきぱきと手際良くブーンの傷を診る。
(´・ω・`)「だが、複雑な骨折は無いようだ。これなら、時間をおいて
良くなりさえすれば、以前と変わらない動きができるよ」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/19(土) 23:59:16.80 ID:nrzMucf10
-
(メ^ω^)「・・・・・・」
(´・ω・`)「あれ、気絶している。まぁ、コレだけの怪我を負えば当然だね」
ξ;゚⊿゚)ξ「ブーン!」
(´・ω・`)「何処でこんな怪我を負ったかは知らないが、よくここまで辿り着いたものだ」
(´・ω・`)「いや・・・毒のしけった香りがする。もしかして、“沼地”を超えて来たのかな」
(´・ω・`)「だがもう心配はいらない。ここで、ゆっくりと養生する事だね」
ξ゚⊿゚)ξ「ああ・・・ブーン・・・」
ξ;⊿;)ξ「・・・・・・よか・・・よかった・・・うぅ・・・」
(´・ω・`)「彼も大概だが、君もボロボロだ。診察しよう・・・おや、靴を履いていないじゃないか」
(´・ω・`)「・・・随分やつれているね。お腹も空いているだろう。
あとで栄養のある物を作ってあげるからね」ξ;⊿;)ξ「ひっ・・・ひっく・・・ありがろうごらいまふぅ・・・」
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:01:14.82 ID:gfz+7D0v0
-
(´・ω・`)「ところで、君たちの名前は?彼はブーンといったかね」
ξ゚⊿゚)ξ「は、はい。私たちは・・・」
ξ゚⊿゚)ξ(はっ)
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:02:33.24 ID:gfz+7D0v0
-
(メ^ω^)『ローラ姫様、聞いてくださいお』
ξ゚⊿゚)ξ『なに、ブーン?』
(メ^ω^)『姫様は、姫様だお。でも、その身分を明かせば、
きっと、いろいろな姫様を狙う輩や、危険に巻き込まれるはずだお』(メ^ω^)『だから、この国では、名前と身分を隠して頂きたいんですお』
ξ゚⊿゚)ξ『ええ。解ったわ』
(メ^ω^)『じゃあ・・・えーと、何とお呼びしたらいいか・・・』
ξ゚⊿゚)ξ『じゃあ、ツン』
(メ^ω^)『おっ?』
ξ゚⊿゚)ξ『ローラ=ツン・デリシア・ラルス』
ξ゚⊿゚)ξ『とって、ツンと呼んでちょうだい』
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:06:01.01 ID:gfz+7D0v0
-
(メ^ω^)『ツン、ですかお』
ξ゚⊿゚)ξ『・・・それと、敬語もいらない。気を使われたくないし、
何かよそよそしいわ。命を分けた間柄でしょう?』(メ^ω^)『わ、わかりました・・・お』
ξ゚⊿゚)ξ『ほら!敬語になってるわよ!』
(メ^ω^)『・・・わかったお!ツン!』
ξ//⊿/)ξ『・・・・・・(ドキドキ)』
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:09:26.30 ID:gfz+7D0v0
-
ξ゚⊿゚)ξ「・・・彼の名前は、ブーン」
ξ゚⊿゚)ξ「わたしは名前は、ツンです」
(´・ω・`)「ブーンさんにツンさん、だね」
(´・ω・`)「君たちの姿をみれば、何か訳ありのようだけどね」
(´・ω・`)「余計な詮索をするつもりは無いよ。患者の傷を治す事だけに専念するさ。
それが僕のポリシーだからね」ξ゚⊿゚)ξ「ええ・・・ありがとうございます」
(´・ω・`)「じゃあ、ここに押印か名前を書いてね」
(メ-ω-)
そして、ブーン達の日は刻々と過ぎていった――――――。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:12:41.81 ID:gfz+7D0v0
-
(´・ω・`)「・・・どうかな?」
( ^ω^)「・・・大丈夫ですお!動けますお!」
(´・ω・`)「それは良かった」
(´・ω・`)「しかし、君の回復力には驚かされるね。
あれだけの重傷を負っていたというのに」( ^ω^)「ショボン先生の治療が良かったんですお。本当に感謝ですお!」
(´・ω・`)「いやいや、患者の為に尽力するのは医者として当然の事だ」
(´・ω・`)「それと、ツンさんの看病のおかげでもある」
( ^ω^)「おっおっ。ツン、ありがとうだお!」
ξ//⊿/)ξ「いいのよ!気にしないで・・・」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:14:37.02 ID:gfz+7D0v0
-
(´・ω・`)「しかし、こちらも小さい病院で人手が足りないからね。
ツンさんが寝る間も惜しんで、ブーンさんを看病してくれたのは助かった」(´・ω・`)「さすが、恋人同士の愛の成せる業だ」
ξ//⊿/)ξ「ちっ違います!恋人なんかでは・・・」
(*^ω^)「そ、そうだお先生、からわないで下さいおぉ・・・」
(´・ω・`)「なんにせよ、元気になって良かった」
(´・ω・`)「しかし、せいぜい今は歩けるようになったくらいだ。
まだ無理はしないようにね。戦闘なんてもっての他だよ」(´・ω・`)「竜王討伐は少し休憩し、しばらくこの町で羽を休めるといい」
( ^ω^)「わかりましたお」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:17:39.52 ID:gfz+7D0v0
-
ブーン達は何度も礼を言い、病院を後にした。
体の調子が戻るまで、この町で休養だ。
しかし、やる事も色々ある。
まず率先してするべき事は。( ^ω^)「ツン、ローブを買うお」
ξ゚⊿゚)ξ「ローブ・・・」
( ^ω^)「ツンの衣服はもうボロボロだお。ブーンも人の事は言えないけど」
( ^ω^)「それに、人前にあまりツンの顔を見せるのは良くないお」
ξ//⊿/)ξ「そ、それって、美しい私の顔を独り占めしたいってこと?もう・・・」
( ;^ω^)「違うお。ツンは姫様なんだから・・・万が一にもバレないように、
なるべく、顔の隠せる衣類がいいお」ξ゚⊿゚)ξ「そうね・・・私の似顔絵つきの手配書も、ちらほらあるしね」
( ^ω^)「とりあえず、いろいろ買いそろえたいし、市場に向かうかお!」
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:25:55.49 ID:gfz+7D0v0
-
市場には、人が多い。
湖の近くにある市場。
喧噪に揉まれ、ブーン達は散策する。
「へい、らっしゃい!美味しい川魚の干物だよ!」
「鋤、鍬、鎌、刃物類はいらんかねー。安くしとくよー」
「調味料各種!塩もコレだけの量で、たったの2ゴールド!」
「藁、薪売ります。質のいい薪を置いてるよ」
「新鮮な絞り立ての牛の乳、どうぞ飲んでいってくださーい!」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:29:31.83 ID:gfz+7D0v0
-
ξ*゚⊿゚)ξ「わぁ・・・!」
ツンは、ぱあっと目を輝かせた。
そして、あちこち物色する。
ξ*゚⊿゚)ξ「こ、これは・・・」
ξ*゚⊿゚)ξ「すごいわ!楽しい!」
( ^ω^)「ツン」
今まで何年もの間、あの暗闇に閉じ込められていた。
目に映る全てのものに興味を示すのは当然だった。
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:34:36.90 ID:gfz+7D0v0
-
( ^ω^)「おっ!とりあえず、あそこに衣服屋があるお。
あそこにいって、ツンのローブをみるお」ξ*゚⊿゚)ξ「ええ!」
( ∵)「やぁ、いらっしゃい」
( ^ω^)「すいませんお、ローブが欲しいんですお」
ξ*゚⊿゚)ξ「綺麗で可愛いのがいいわ」
( ∵)「なるほどなるほど、ローブをお探しで。なら、こちらに・・・」
ツンは、様々な色形のローブに、あちこち目を配る。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:37:18.41 ID:gfz+7D0v0
-
ξ*゚⊿゚)ξ「迷ってしまうわ!」
( ^ω^)(ツン・・・嬉しそうで、何よりだお)
( ^ω^)(はやく、あの無情の日々を忘れて、
これからの幸せな生活を満喫していって欲しいものだお)ローラ姫・・・ツンは、よく夢にうなされていた。
あの暗闇の牢獄に捕われていた時の夢を。しかし、いずれ時がすべてを洗い流してくれるだろう。
ブーンはそうであって欲しいと、心からそう願う。
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:40:35.16 ID:gfz+7D0v0
-
ξ*゚⊿゚)ξ「どうしましょう・・・」
( ^ω^)「ときに店主、ここは武器防具などの装備品は売ってないんだおね?」
( ∵)「ええ、そうですね。そういったものは」
( ∵)「ですが、お隣に武具屋がありますよ。そこへ行かれてはどうでしょう」
( ^ω^)「あ、隣が武具屋なのかお!」
( ^ω^)「じゃあちょっと行ってくるかお。ツン」
ξ゚⊿゚)ξ「はい」
( ^ω^)「隣の店をみてくるお。ツンはここで、ローブを選んでてくれお」
ξ゚⊿゚)ξ「わかったわ!」
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:43:26.58 ID:gfz+7D0v0
-
ブーンは隣の店へ移動する。
( ^ω^)「ごめんくださいおー・・・」
質の良さそうな武具品がいくつも置いてある。
これは、装備の買い替え時か。しばらく品を眺める。
- 59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:45:23.75 ID:gfz+7D0v0
-
( ^ω^)「お」
( ・∀・)「んん?」
( ^ω^)(・・・・・・)
( ・∀・)「その薄汚れた格好・・・どこかで見た事あるな」
( ^ω^)「・・・・・・あ!思い出したお!アンタは・・・」
( ・∀・)「マイラの武器屋で会った男、か。そうだったね」
( ^ω^)「口の悪さで思い出したお」
( ・∀・)「また武具屋で会うとはね。何か因果でもあるのかな」
- 60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:48:49.02 ID:gfz+7D0v0
-
端正な顔立ちの戦士風の男は、ジロジロとブーンを見つめる。
( ・∀・)「確か、竜王を倒す旅をしているんだっけか」
( ^ω^)「そうだお」
( ・∀・)「なるほどね。いうだけの事はある」
( ^ω^)「?」
ζ(゚ー゚*ζ「モララー様!」
( ・∀・)「おお、デレ」
モララーと呼ばれた男に、美しい女性が駆け寄る。
- 61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:51:19.94 ID:gfz+7D0v0
-
( ^ω^)「おっ?」
( ・∀・)「ああ、こいつはデレ。一緒に旅をしているんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「はい!」
( ^ω^)「旅?一緒に?」
( ・∀・)「ああ」
( ^ω^)・∀・ )(マイラの店で買った娼婦さ。旅の共に、肉便器は必要だろう?)ヒソ
( ^ω^)「・・・・・・」
( ^ω^)「アンタ、世界中を旅しているんじゃないのかお?」
( ・∀・)「ああ、そうさ」
- 63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:54:26.40 ID:gfz+7D0v0
-
マイラの村から一緒に来たと言う。
つまりこの男は、女性を伴いながら、あの難関の沼地を超えて来た、という事になる。
とすれば、相当の腕を持つ戦士である筈だ。
( ・∀・)『なるほどね。いうだけの事はある』
( ^ω^)(・・・あ)
( ^ω^)(そういう事かお。今ブーンがここにいるって事は・・・)
( ^ω^)(あの沼地を通り抜けて来たってことだお)
( ^ω^)(つまりそれは、凄腕の冒険者の証明・・・という事かお)
- 65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:57:47.21 ID:gfz+7D0v0
-
( ^ω^)「・・・アンタは、何の為に旅をするんだお?」
( ・∀・)「俺かい。・・・得に無いよ。強いて言うなら、楽しむ為さ。
というか、ひとっ所に留まっていられない性分なんだ」( ・∀・)+「そう、自由に羽ばたく、鳥のようにね」キラン
ζ(゚ー゚*ζ「モララー様、素敵ですわ!」
女性が髪をなびかせ手を握り硬め、戦士を賞賛する。
しかし、この女性も女性だ。
いくら金で買われたとはいえ、あの沼地を共に超えてくるなど、
並の精神力ではない。普通なら、臆してとてもついては来れないだろう。
- 68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 00:59:52.53 ID:gfz+7D0v0
-
( ・∀・)「じゃあ、俺達はこれで。せいぜい、竜王を倒す為に頑張ってくれよ」
( ・∀・)「いこう、デレ」
ζ(゚ー゚*ζ「はい、モララー様」
( ^ω^)「・・・ブーンはやるお。アンタに出来なくとも・・・」
( ^ω^)「自分が、この世界に平和を取り戻してみせるお」
( ・∀・) ピク
- 70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:01:37.11 ID:gfz+7D0v0
-
( ・∀・)「・・・まるで俺が、君より弱いとでも言いたげだな」
( ^ω^)「さてね・・・どうだろうかお」
( ・∀・)「・・・いったな」
( ・∀・)「表にでろ。俺の剣の侮辱は許さない」
( ^ω^)「・・・アンタと戦る、理由がないお」
( ・∀・)「理由ならあるさ。君自身の命を守る為だ」
モララーは、スラリと剣を鞘から抜く。
- 72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:04:31.70 ID:gfz+7D0v0
-
( ^ω^)「・・・・・・」
ζ(゚ー゚;ζ「モララー様・・・!」
( ・∀・)「デレ、離れてろ」
( ^ω^)「・・・・・・」
ブーンは、斧を構える。
( ・∀・)「・・・・・・」
モララーは、切っ先をこちらに向ける。
- 76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:07:13.48 ID:gfz+7D0v0
-
( ・∀・)
( ^ω^)
( ・∀・)「・・・ふはは」
( ^ω^)「・・・・・・」
モララーは、剣を鞘に収める。
ブーンも、構えの緊張を解いた。
- 78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:10:11.61 ID:gfz+7D0v0
-
(♯・∀・)「はぁッッ!!」
(♯^ω^)「おおっ!!」
刹那、剣と斧が交錯する。
::(( ^ω^)X(・∀・ ))::
鍔迫り合いながら、二人は互いの目を睨み合う。
力と力が拮抗し、武器同士がキシキシと音を立てている。
- 80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:12:53.77 ID:gfz+7D0v0
-
周りの人間が、何事かと二人の周囲に集まって来た。
( ・∀・)「・・・なかなかやる、じゃないか」
( ^ω^)「・・・・・・!!」
( ・∀・)「だが・・・」
モララーは、ブーンの片足を蹴り払う。
( ;゜ω゜)「おっ・・・おおっ!?」クルリ
(( ;-ω-)「ぐっ!」ドタッ!
ブーンは倒された。
体中に、痛みが走る。まだ傷が癒えてはいないのだ。そして、喉元に剣の切っ先が突きつけられる。
- 84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:15:30.07 ID:gfz+7D0v0
-
( ;^ω^)「・・・・・・くぉ」
( ・∀・)「まだまだ甘いね。俺に勝とうなんて」
モララーは、剣をくるくると回し、華麗な振る舞いで鞘にしまった。
( ・∀・)「確かにそれなりの腕ではあるようだが・・・
俺に倒されるようじゃ、とてもじゃないが竜王を討つなんて無理な話だぜ」( ・∀・)「もう少し、身の振り方を考えた方がいいんじゃないのか?」
( ^ω^)「・・・・・・」
ブーンは仰向けになり、空を見上げたまま。
- 88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:18:20.50 ID:gfz+7D0v0
-
ζ(゚ー゚*ζ「モララー様!お怪我は?」
( ・∀・)+「ある訳ないだろう。俺を誰だと思ってるんだい?」キラリ
ζ(゚ー゚*ζ「ああ、よかった!!」
( ・∀・)「さあ、行こうか。時間を取らせたね。何か、美味しいものでも食べに行こう」
ζ(゚ー゚*ζ「はい!」
( ^ω^)
- 90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:21:00.62 ID:gfz+7D0v0
-
「ふふ、竜王を倒すだって?」
「あんなザマじゃあ、出来るわけねえよなぁ」
「無謀だよ無謀、どうせそこらで野たれ死ぬのがオチってもんだよ」
周囲の野次馬は散開していく。
ブーンはむくりと起き上がり、ぱっぱっと体の汚れを払う。
そして再び、武具屋へ。
( ^ω^)「すいませんお。これ、下さいですお」
- 94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:24:08.45 ID:gfz+7D0v0
-
ξ゚⊿゚)ξ「お待たせ、ブーン」
( ^ω^)「ツン、ローブ選びは終わったかお?」
ξ゚⊿゚)ξ「ええ。このグレーのにしたわ!」
ツンは、ふわりと羽織るローブを揺らせてみせる。
なんとなく似てはいないが、あの黒衣のローブのドクオを思い出した。
( ^ω^)「おおっ!似合ってるお、ツン!」
ξ//⊿/)ξ「そ、そうかしら・・・」
ξ*゚⊿゚)ξ「ブーンのそれは、新しい装備?」
( ^ω^)「だお。新調したお」
ξ*゚⊿゚)ξ「それもカッコいいわよ、ブーン」
(*^ω^)「そうかお?」
- 98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:27:12.31 ID:gfz+7D0v0
-
ξ゚⊿゚)ξ「そういえばさっき・・・外が何か騒がしかったみたいだけど・・・」
ξ゚⊿゚)ξ「何かあったのかしら?」
( ^ω^)「さぁね・・・それよりツン」
( ^ω^)「何か、美味しいものでも、食べにいくお!」
ξ*゚⊿゚)ξ「・・・・・・ええ!!」
ブーンは、ツンの笑顔を見て、自分も微笑む。
この笑顔を、守りたい。
ツンだけではない。この世界の人々を。
- 101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:31:40.96 ID:gfz+7D0v0
-
途方も無い無謀だろうか。自分の成そうとしている事は。
確かに、初めは無謀かもしれないとも思った。
でも今は違う。
冒険の中で鍛え上げられ、少しずつ、ほんの少しずつ芽生えてゆく感情。
やれるかもしれない、いや果たさねばならぬ。
傍らに立つ一人の女性。
彼女の存在が、ブーンの使命感をより燃え立たせるのだった。
- 104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:34:33.75 ID:gfz+7D0v0
-
( ^ω^)ξ゚⊿゚)ξ
( ・∀・)ζ(゚ー゚*ζ
先ほどの、戦士と女性。
どこか自分とツンに似ているなと、何故か少しだけそう思った。
しかし、あの戦士と自分を重ねあわせた事に気づいて、
頭をボリボリと掻き、少しだけ顔をしかめてやった。
to be continued…!!
- 108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/02/20(日) 01:37:37.02 ID:gfz+7D0v0
( ^ω^)ブーンの今のステータス
LV18
はがねのつるぎ
はがねのよろい
てつのたて
今回登場した敵
特に無し